【技術書レビュー】体験しながら学ぶネットワーク技術入門はかなりの良書だった

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2024年1月に発売された「体験しながら学ぶネットワーク技術入門」を読んだので、その感想をまとめていきます。

結論:すばらしい良書だが、入門かと言うと・・・?

結論から先に言うと、解説がとても分かりやすく、手を動かしながら学ぶので、インプットとアウトプットが同時にできてかなり優れた書籍であると思います。

本書の対象は以下のようです。

  • 脱ネットワーク初心者を目指す方
  • 資格は取得したものの現場知識に自信がない方
  • トラブルへの対応力を上げたいネットワーク運用管理者

ただし、全くのIT初心者には少し難しい内容かなと感じました。その理由は後述します。

もしIT未経験の新卒社員にネットワークの勉強をしてもらうということだったら、この書籍は選ばないかな、くらいの感覚です。

仮想的なネットワーク環境を構築して学ぶ

本書の一番の魅力としては、実際に仮想的なネットワーク環境を構築して、手を動かしながら学べるということです。

一般的なネットワーク入門書って、かなり分厚くて、最初から最後までずっと解説が書かれてるじゃないですか?それはそれでインプットとしてはいいと思います。

でも実際の現場では、、

頭を抱えてる人
頭を抱えてる人

ちゃんと設定したのにネットワーク接続ができない!?

pingはできる人
pingはできる人

ping疎通はできるけど、ブラウザからアクセスできない。。

みたいなことが結構おきます。そのようなケースのトラブルシューティングの方法(tcpdumpやWireshark等)なども学べるので、かなり実践的なスキルが身に付きます

ハンズオン形式だけど、つまみ食いもできる

この書籍は自分のパソコンにLinuxとDocker環境を作って、各コンテナにスイッチ、ルーター、ファイヤーウォール、負荷分散装置などの役割を持たせて、ハンズオン形式で学ぶことができます。

一般的にハンズオン形式だと、最初から順番に進めていかないとだめなのですが、この書籍は章ごとにセットアップスクリプトが用意されているので、この章だけ学びたいということもできます

本書のコンテンツは以下の通りです。

Contents

1章:検証環境を作ろう

2章:レイヤー2プロトコルを知ろう

3章:レイヤー3プロトコルを知ろう

4章:レイヤー4プロトコルを知ろう

5章:レイヤー7プロトコルを知ろう

6章:総仕上げ

つまり、IPのことはもう学ぶ必要はないけど、HTTP周りを学びたいという場合は、第5章のセットアップスクリプトを実行すれば、それまでの設定が投入された状態の検証環境が構築されるので、第5章から進めることもできます。これは素晴らしい!

内容が新しい

ネットワークに関する技術書はこれまで数多く出版されているのですが、ネットワーク技術は常に進歩しています。

その点この書籍は2024年1月に発売されたということもあり、扱っている内容も新しく、最近の主流となっているスキルを学べると思います。(2024年5月現在)

例えば、SSL/TLSについても、現在主流となっているTLS1.2についてしっかり説明してくれています。

ネットワーク基礎からの解説はない

これは本書でも述べられているのですが、「ネットワークとは?」「プロトコルとは?」といった解説はありません。

このあたりを期待している人は、別の入門書から学習するのをおすすめします。

検証環境構築のハードルが高い(かも)

この書籍は、まず初めに自分で検証環境を構築するところから始まります

内容は、自分のパソコンにWSL2をインストールして、Ubuntuの上にDocker+tinetを構築して、、みたいな流れです。

手順は詳しく書かれているのですが、もしどこかでハマってもトラブルシューティングなどは書いておらず、ログを見て自分で解決してね!ってスタンスなので、その辺のスキルがないと挫折する可能性もあります。

僕も無能なのでtinetのファイルを解凍する場所をミスって一発でセットアップはできませんでした。

ぼく
ぼく

危うく挫折するところだった

ダウンロードしたtinetフォルダはCドライブ直下(C:\tinet)に解凍しないとダメだよ!

他にも、Wiresharkを使うのですが、ここからダウンロードしてね!とだけしか書かれておらず、インストール方法などの解説はありません。

まあ、エンジニアならそれくらいは自分でできないとアカンすよってメッセージも込められてるのかもしれません。

Linuxのコマンド知識が必要

これも本書で書かれてはいるのですが、Linuxコマンドについての詳しい説明はされてません。

ただし、Ubuntuを導入しているのでがっつりLinuxコマンドを使います

この辺りもIT未経験だと厳しいかもしれないので、一度Linuxの知識をつけてからの方が効率よく学べると思います。

もちろんコマンドの意味を調べながら進めることができるのであれば、それは問題ないと思います。

スイッチのコマンド等は学べない

実際に物理的なスイッチを使用しているのではなく、Open vSwitchという仮想的なスイッチを利用しているので、Cisco等のスイッチのコマンドを学びたいという方には適しておりません。

まとめ:ネットワーク初心者には最適な良書

まとめます。

  • 脱ネットワーク初心者を目指す人にとってはかなり役に立つ内容
  • 最新のネットワーク技術をアウトプットしながら学べて気持ちいい
  • ネットワーク初心者を目指す場合は、他の書籍を検討しよう
ぼく
ぼく

図もカラーで見やすいので、電子よりも紙書籍の方をおすすめするよ

この記事を書いた人
いわた

某大手外資系IT企業にて約10年ほどITエンジニアとして働いております。30代男性、都内在住。
いつレイオフされてもいいように、2024年5月よりブログを開始。
いつかは副業がサラリーマンですと言いたい。

スキル:インフラ周り/クラウド/Linux/YESマン
趣味:健康/プロ野球/ゲーム(パワプロ)

パワプロのオタクもしてます。

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